〈岸和田2歳女児・車中置き去り死〉重なった不幸…チャイルドシートにロックされ、近隣は気づかず。「車に犬は反応したのに…」

11月12日、大阪府岸和田市尾生町の市立保育所の駐車場で、同保育園に預けられている渕上惺愛（せいら）ちゃん（2）が車の中で意識不明の状態で見つかり、間もなく搬送先の病院で死亡が確認された。惺愛ちゃんはおよそ９時間にわたって車内に取り残され、熱中症で死亡した可能性があるという。

渕上家は5人家族、惺愛ちゃんは三姉妹の次女、長女と三女は別の認可子ども園に通っていた。

「あのあたりは新興住宅地で保育園も少なく待機児童も多い。三姉妹が同じ保育園に通えず、惺愛ちゃんのみが隣町の保育園に通っていた。父親は午前8時ごろ、はじめに4歳の長女と1歳の三女を別の認定子ども園に送ったのだが、惺愛ちゃんを預けるのを忘れてしまい、そのまま帰宅。惺愛ちゃんは駐車場内の施錠された車に放置された」（社会部記者）

9時間後、父親が保育所に迎えに行くと「来ていない」と保育士から指摘され、車内の後部座席を確認、チャイルドシートでロックされ、ぐったりしていた惺愛ちゃんが見つかった。

「不幸にも12日の大阪府内の最高気温は20度を超えた。惺愛ちゃんの唇は乾燥し、脱水症状をおこしていた。司法解剖の結果、死因は熱中症で死亡推定時刻は午後4時頃。惺愛ちゃんには虐待の跡もなく、児相の通報歴もない。過失の可能性が高いが、父親は話ができないほど憔悴しており、警察の聞き取りは難攻している。捜査は１課が仕切り、慎重に捜査はおこなわれている」（社会部記者）

同級生の母親が涙。「評判の保育園だったのに…」

近隣住民によると一家はわずか1、２か月程前に越してきたという。

「引っ越しのときは、丁寧に夫婦で挨拶に来てくれて、とても物腰の柔らかい夫婦だった。家も新築でこれからの生活を楽しみにしていただけに不憫で仕方ない。ご家族はショックのあまりか表札も取り外してしまった」（近隣住民）

12月25日に3歳の誕生日を迎えるはずだった惺愛ちゃん。岸和田市こども家庭応援部の担当者は当時の状況を説明する。

「早朝の時点で惺愛ちゃんが来ていないことを把握しており、保育園の交代で引き継ぎました。9時半の時点で来ていない場合は保護者に連絡することになっており、予定通り10時ぐらいに電話しようと、受話器まであげましたが、そのときに他の保護者の対応に気をとられ、したつもりになっており、連絡を忘れてしまったようです。今後はなんらかの形でダブルチェックする必要があると考えております」

同じ保育所に子どもを通わせる母親も涙ながらに肩を落とした。

「子どもが同じクラスでした。保育園は普段はお休みの連絡を忘れた場合、連絡をくれるんです。先生もとてもよくしてくれるし、評判の保育園でした。不幸が重なり、本当に悲しいです」

惺愛ちゃんが発見された現場には花束が供えられていた。