中3少女の凶行

「死刑になりたくて、たまたま見つけた親子を刺した」

2022年8月、夏休み中の15歳の中学3年生の少女がそんな思いで殺人未遂事件を起こした。犯行場所は渋谷駅から徒歩圏内の路上だった。

この日、埼玉県戸田市にある自宅を、少女は「塾の夏期講習へ行く」と言い残して出ていった。Tシャツにレギンスといった、どこにでもいる中学生の夏の装いだった。

だが、少女は塾へは向かわず、電車に乗って渋谷へ行った。

午後7時過ぎ、少女は品定めするように日の沈んだばかりの道を歩いていた。この時、彼女はすでに犯行を計画し、2本のナイフと1丁の包丁を所持していた。

彼女の目にとまったのは、たまたま前を歩いていた53歳の母親と、19歳の娘だった。少女はナイフを握りしめ、背後から2人に襲い掛かった。ナイフで背中や腕を切りつけたのである。路上に女性の悲鳴が上がって初めて、周囲の人々が異常に気がついた。そして、その場で取り押さえられて、警察が呼ばれたのだ。

被害にあった母親と娘はかろうじて命は助かったものの、数カ所を切りつけられて全治3か月の重傷を負った――。