中国共産党のなりふりかまわぬ熱意と資金力

中国の軍事脅威が高まるなか、中国海軍の最新鋭ステルス艦上戦闘機J-35(殲35)の高解像写真が7月末に中国国内でネット上に登場し、目を集めている。

中国の最新鋭ステルス機「J-35」がデビュー。2024年“実戦配備”で日本が見る悪夢_01

原型は第5世代戦闘機として開発が進められてきたJ-31(シロハヤブサ)で、ここ数年間で海軍向けに空母での運用を可能とするための大幅な設計変更が施され、J-35となった。

筆者はJ-31がお披露目された2014年11月の広東省珠海での公開初フライトを現地で取材したことがある。初フライトが行われたのは中国共産党が力を入れる珠海航空博覧会でのことだった。

中国共産党の幹部のほか、各国の防衛関係者や武官が終結した博覧会は41の国・地域から約700社の航空関連企業が出展し、約300件、総額2兆7000億円超の契約が成立する盛況ぶり。その珠海航空博覧会のハイライトが、きりりとした濃紺色にペイントされたJ-31のお披露目だった。

当日は中国人民解放軍空軍65 周年記念日で、ロシア製エンジンのクリモフRD-93を2基積んだJ-31はまとわりつくような熱気のなか、時折、低回転域黒煙を出したものの、難度の高い「スプリットS」などの航空マニューバー(戦術的な意図にもとづく機動、展開の意)を鮮やかにこなし、鮮烈なデビューを飾ったのだった。

当時、中国海軍はJ-31は将来的に輸出用として供与されると発表していた。しかし、エンジンを2基積むその設計は洋上で片方のエンジントラブルがあっても、フェールセーフ(機体に故障やエラーがあっても安全に操縦できること)が必要とされる空母艦載機としての運用に適しているとの印象を受けた。

J-31を含め、中国の「第5世代戦闘機」開発においては、アメリカのF-35ステルス戦闘機の軍事的機密を一部、諜報活動やハッキングといったイリーガルな方法で入手したとの噂がつきまとっていた。

それでもそのハイテクさは機体設計に存分に生かされており、開発にかける中国共産党のなりふりかまわぬ熱意と資金力は完全に日本を圧倒していると唸らされた。