図鑑のページをテープで留めるほど嫌いだった

「ゴキブリは1匹いたら100匹いる」が都市伝説な理由_1
すべての画像を見る

私は、物心ついたときから生き物が大好きでしたが、ゴキブリだけは大嫌いでした。昆虫図鑑のゴキブリが載ったページを、セロハンテープで留めて見えなくしまうほどです。

しかし5年前、ゴキブリの魅力に気づき、勤務先の昆虫館でゴキブリ展を企画。さらにゴキブリ研究を開始し、本書『ゴキブリ研究はじめました』を出版することに。

今では、「いちばん好きな虫は?」の問いに迷うことなく「ゴキブリ!」と答えるくらい大好きになっています。

きっかけの一つは、昆虫館の先輩が、事務所でクロゴキブリの飼育を始めたこと。私の席の後ろにあるキャビネットに、ゴキブリの入った水槽を置いたのです。

私は出勤のたびゾゾッと鳥肌を立たせ、背後のゴキブリに恐怖を感じながら仕事をすることになりました。

エサやり経験でかわいさに気付く…!

ある日、先輩が休みをとり、私だけが出勤することに。朝、開館作業を行い、生き物たちにエサと水を与えていくうち、ゴキブリにも与えなければいけないことに気付きました。

1日くらいならエサをあげなくても死なないだろう……と思いましたが、さすがにかわいそうなので、意を決して、エサの昆虫ゼリーを入れることに。

ゆっくりと水槽のフタを開け、ドキドキしながらエサやりをします。なんとか昆虫ゼリーを入れて、目をやると、ゴキブリが身を乗り出し、触覚をしきりに動かしながら昆虫ゼリーに近寄っています。

水槽の中の障害物を器用に乗り越え、私が入れたゼリーにたどり着くと、一心不乱に食べ始めました。まるで、エサを待っていたイヌやネコのようではありませんか。「ちょっとかわいいかもしれない」。つい、そう思ってしまったのです。