#1 辰吉丈一郎の忘れられない言葉を元名物編集長が語る-ありがとう!『ボクシング・マガジン』打って打たれて66年

ボクマガ時代の仕事の流儀

『ボクシング・マガジン』休刊!元名物編集長が振り返る「疑惑の判定」_a
「自分は編集部の仕事が好きで編集長になることまでは考えていたけど、それ以降のライフプランみたいなものはなかったですよ」(原さん)

――ボクシング・マガジン編集部時代に、気をつけていた編集方針とかはありましたか?

編集方針というか、ワクワクする感覚を忘れないようにしていましたね。「プロは仕事として取り組むべきだから冷静でないといけない」という人もいるだろうけど、こちらが面白いと思えないと、読者の方にもその面白さは伝わりませんから。

――熱量がそのまま誌面になる?

そうですね、ただし、専門メディアとして取材した情報を伝える立場でもあったので、我々の主義主張をなるべく抑えて誌面構成をするようにしていました。まず大切にしていたのは何が起こっているかという一次情報を正確に伝えることです。

――でも、疑惑の判定とか時々ありますよね? 編集部内で意見が分かれることは?

判定について意見が分かれることはありますよ。例えば鬼塚(勝也)さんのタノムサク・シスボーベー戦は判定について世間で大きな議論となりましたが、編集部内でも「タノムサクの勝ちだった」という声が多数だったんです。でも、それを誌面で書くことはなかった。ボクシングはWBCとかWBAとか、第三者の認定機関がジャッジをつけるものであって、その判定をメディアである我々は尊重するスタンスでしたから。