「稼ぐ人が偉い」のも最近の価値観

現代では、「お金を稼げる人が偉い」という価値観も根強いですよね。でも、その価値観も絶対ではありません。あくまでこれは、近現代の資本主義社会の中だけで通用する価値観です。

たとえば江戸時代の日本だと、公家や武士が偉いとされていました。でもよく考えると、彼らは全然、お金は稼げません。

じゃあ誰が稼いでいたのかというと、三井家や住友家といった商人です。彼らはまったく偉くはありませんでした。商人の中では偉かったかもしれませんが、公家や武士とは比較にならなかったのです。

またキリスト教的な考え方が支配していた中世ヨーロッパでは、個人の偉さは信仰心の篤さで決まりました。ですから、やっぱりお金を稼ぐ能力なんてリスペクトの対象にはなっていませんでした。

もちろん、お金で買えるものもたくさんありますから、お金もそれなりに大切です。しかし信仰心とは比べものになりません。

さまざまな経緯を経て生まれた資本主義社会では、お金を稼ぐことが重要な意味を持っています。そのせいで現代では、稼ぐ能力がものすごい価値だと思われているけれど、落ち着いてよく考えると、お金で買えないものは無数にありますよね。