
“プライベートダンス”で1日8万円稼ぐダンサーも。「私たちは売春婦とは違うの、きちんとダンスを売っているんだから」絶滅寸前の沖縄ストリップ小屋事情
風俗産業の移り変わりとともに、日本全国でいまや数えるほどしか営業されていない、ストリップ劇場。かつては点在した沖縄でも、その数は激減している。しかし、いまだにしぶとく経営を続けるストリップ小屋も存在する。沖縄のストリップ事情について『最新版 沖縄裏の歩き方』(彩図社)より一部抜粋してお届けする。
最新版「沖縄 裏の歩き方」#2
今も沖縄に現存するストリップ劇場
ひと昔前、大勢の男たちで賑わっていたストリップ劇場【1】も、いまや全国で数えるほどしかなくなったといわれている。
警察による厳しい取り締まりの影響、さらには、風俗産業の多様化によって、わざわざ安くない入場料を払ってストリップを見に行こうという客が減ったからだろう。沖縄にもかつては大規模なストリップ劇場があった。しかし、時代の波には逆らえず軒並み壊滅……のはずだったが、この島ではまだいくつかのストリップ小屋がしぶとく営業を続けている。知る人ぞ知る沖縄のストリップ小屋を紹介しよう。
最初にご紹介するのは、「チー○ーズ」という店である。
国道58号線沿い、北谷町辺りにあり、オーナーが外国人との噂があるのもうなずけるアメリカンなストリップ小屋である。入場料は2000円。入り口で支払い、さっそく店内に足を踏み入れる。ピンクと赤の混じったような照明に照らされた店内。店の中央には、天井からダンス用のポールが吊り下げられた円形のステージがあり、それを囲むように所狭しと丸いテーブルが並べられている。ハリウッド映画さながらの、異国情緒たっぷりの雰囲気である。

写真左奥がアメリカンスタイルの「チー○ーズ」
入場の際にもらったドリンク券【2】を使って、飲み物を注文する。時刻は22時。客の入りは6組程度、基地関係者だろうか、アメリカ人の姿が目につく。筋肉質な者が多いことから軍人だと思われる。二の腕にはTATOOを彫っている者もけっこうな確率でいる。席について飲み物を飲んでいると、しばらくしてポールダンスが始まった。
ステージに現れたのは、アンジェリーナ・ジョリーを崩した、アメリカ人と思しき外国人女性。ポールに妖艶にからみつき、激しいダンスを踊る。踊り子さんはよく鍛えているのだろう、とにかく踊りのレベルが高い。噂では、この店の踊り子さんは陸軍出身なのだという。思わずそれも納得のパフォーマンスである。踊り子さんには日本人女性もいたが、全然レベルが違う【3】。
ダンスを堪能したら、おまちかねのおひねりタイム。踊り子(水着を着用)が腰をくねらせながら客席を回ってくるので、チップとして縦に折ったドル紙幣を胸の谷間に挿入してあげよう。
あまりハッキリとは書けないが、この店にはちょっとムフフなサービスもあるらしい。
この店に何度か通っている知人によると、いくらか払えば別室に通され、踊り子さんの胸を触るなどといった軽いエロサービスを受けられるという。ただし、腕が丸太ほどの太さがある黒人の用心棒の監視つきではあるそうだが……。
近頃では一般のアメリカ人女性も接客しているという噂もある。金髪美女と楽しく飲んでみたいという方は、一度は訪れてみる価値があるかもしれない。
日本人にも開かれたストリップ劇場
次は、県民にもある程度開かれたストリップ劇場を紹介したい。
店は沖縄市のパークアベニュー通りにある。私が行ったのは金曜日の21時半ぐらいだ。ネオンが煌々と光っており、看板等は全て英語で、すぐにその手の店だとわかる。見たところ、日本人のダンサーは半分ほどで、他のダンサーの国籍は様々【4】だ。
この店も、先ほどの店と同様、はじめに2000円の入場料を支払うと手首にリストバンドを巻かれる形式だ。その後、ボーイに席を案内されるとドリンクを注文することになるが、あくまでストリップがメインなので法外な金額ではない【5】。

ストリップ劇場の外観
店の中はCLUBより若干明るめである。作りはL字型になっており、バーカウンターまである。奥の方にはステージがあり、それを囲むようにして席が配置されていた。お客の入りは4分の1ぐらいだろうか。日本人は私とサラリーマン4人グループの2組だけだ。
そうしてしばらく店内を観察していると、いつの間にかショーが始まっていた。広い舞台の前に米兵たちが集まり大騒ぎしている。映画でよく見るような光景だ。水着姿のダンサー達【6】のレベルは高く、ポールを使ったショーには圧倒された。
ショータイムが終わると、水着姿のダンサーの子がそばについてドリンクをせがんできた。私についた子は東京出身のようだ。なぜわざわざ沖縄で働いているのだろうか。本人に聞いてみた。
「東京よりも沖縄の方がずっと稼げるからね。東京はかわいい子ばかりでとても働けないけど、沖縄だったら私でも勝負できる。実入りはいいほうじゃないかな」
客は米軍関係者がほとんどだ。ただし、在沖米軍が不祥事を起こすと、米兵は外出禁止になって営業にならないらしい。そんなときは、別の場所でアルバイトをしているのだという。
「だけど、米軍の給料日になれば店は大繁盛するんだから。プライベートダンスで1日8万円も稼いだ子もいるぐらい」
「私たちは売春婦とは違う、ダンスを売っている」
プライベートダンスとは、お客に指名されたダンサーがカーテンで仕切られた別室にて行う際どいダンスのことである。もちろんその近くでは、屈強なバウンサーが待機している。値段は10分で4000円ほど。中には10回で連続して買う猛者もいるという。
「私たちは売春婦とは違うの、きちんとダンスを売っているんだから」
そう言って彼女は再び舞台へと上がっていった。その後、ドリンクの注文を取りにきたボーイ【7】にも話を聞いてみた。どうやらトラブルもかなりあるようだ。
たとえば米兵が酔っているのをいいことに、女の子がプライベートダンスを多めに申告して法外な額をカード決済し後日トラブルになるケース。逆に、酔いから冷めた米兵が上司を伴いぼったくりにあったと難癖をつけてくるケースなどだ。
とはいえ、経営者もバウンサーも日本人なので、日本人相手なら悪くすることはない。興味を持った読者がいたらぜひとも行ってみてほしい。
《補注》
【1】ストリップ劇場
現在経営が続いている店は、全国に20店前後しかないと思われる。なお、都内には浅草や上野など数箇所に残っているようだ。
【2】ドリンク券
この店はワンドリンク付き。ビールなどのアルコール類も注文可能。
【3】全然レベルが違う
うまいのはアンジェリーナ。しかし、スポーツみたいであまりいやらしくない。日本人の踊り子さんの方が見ていて楽しかった。
【4】他のダンサーの国籍は様々
ダンサーは南米系であったりフィリピン人であったりと国際色豊か。どういう経緯で働いているのかは見当もつかないが。
【5】法外な金額ではない
ビール一杯500円ぐらいで、その他のドリンクも同様の値段だから安心してほしい。
【6】水着姿のダンサー達
ここでも、客はお気に入りのダンサーの水着に、1ドル札や5ドル札を挟んでいた。5人のダンサーが交代で踊っている。
【7】ボーイ
多少は警戒されたものの、「景気いいみたいじゃないですか」と軽口を叩くと苦笑いをして、「そうでもないですよ」と内情を語ってくれた。こういうボーイが案外裏話を教えてくれるから、興味がある人は女の子以外の従業員と話してみるのもおすすめだ。
文/神里純平
『最新版 沖縄 裏の歩き方』(彩図社)
神里純平

2023年10月27日
1760円
240ページ
978-4-8013-0689-9
一部の県民のみぞ知るディープな沖縄情報を満載した『沖縄 裏の歩き方』。 その最新版が、旧版から6年の時を経て登場! コロナ禍を経てガラッと変化した繁華街事情や、沖縄裏社会と海外マフィアとの関係、穴場観光スポットなど、最新の情報をふんだんに掲載。ガイドブックには載っていない沖縄の裏の魅力が盛りだくさんの一冊。
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