大谷翔平選手の成功思考の秘訣「維持していこうというよりも、それを超える技術をもう一つ試してみようかなと思う」ポジティブ思考の神髄
物事のさまざまな局面にぶち当たると、なによりも結果に一喜一憂してしまい、自分の本来の目標や夢を見失ってしまいがちに…。大谷選手のようにポジティブに目標に取り組むための秘訣について、追手門学院大学スポーツ研究セター特別顧問 児玉光雄氏の『「できない」を「できる」に変える 大谷翔平の思考法』(アスコム)より一部抜粋・再構成してお届けする。
大谷翔平思考法 #3
自分を絶対評価する習慣を身につけよう
2022年10月5日、この日大谷翔平選手は、今季最終戦となった対アスレチックス戦に「3番・投手兼DH」で出場します。メジャー史上初の歴史的瞬間は静かに訪れます。1回2死、97マイル(約156キロ)のツーシームで3番ブラウン選手を三ゴロに討ち取り、投球回が162イニングとなり、規定打席(502打席)と合わせたダブル規定回を達成したのです。試合後、大谷選手はこう語っています。
「本来は(規定投球回に)こだわりはないですけど、本当にやってみないと分からない。(投打)二つやっている段階で(規定に)乗るかどうかが、自分として目指すべき数字なのか。それが分かったのが良かった」(サンスポ2022・10・06付)
大谷選手は、自分自身のパフォーマンスの評価を結果ではなく、すべて内面から湧き上がってくるものにより下します。何事もすべて自分で決める。大谷選手は、この成功法則を人生を通して貫いているから、結果に関係なく自分を納得させることができるのです。このことに関して、大谷選手はこう語っています。
「誰を、ということじゃなく、自分の中で課題を消化するのが野球の面白さなのかなと思います」(『不可能を可能にする大谷選手120の思考』ぴあ)
たとえば、大谷選手は思い通りの投球ができなかったとき、たとえバッターを討ち取ったとしても満足しません。そこで「なぜ思い通りに投げられなかったのか?」について深く内省するのです。それこそが、成長のチャンスであると、彼は確信しています。なぜなら、過去のキャリアで、内省が成長につながったという手応えを数多く経験しているからです。
結果に一喜一憂しているうちは、一流人の仲間入りなんて到底不可能です。相対評価ではなく、自分の力量を絶対評価することを大谷選手は大事にしているのです。
これを象徴する大谷選手の言葉を紹介しましょう。
「今の相手と今後10年、20年、ずっと対戦していくのなら、このバッターを倒すために必死になるとか、このピッチャーを打ち崩そうかと思うのかもしれませんが、相手も時代も変わりますし、若い世代が入ってくれば対戦相手もどんどん変わるんです」(『不可能を可能にする大谷選手120の思考』ぴあ)
大谷選手は常に自分を絶対評価する習慣が身についているから、どんな結果になっても、一喜一憂することがないのです。最終的には何事も広い視野を持って、自分の物差しで決定する。これは覚えておいてよい成功法則です。

これが「ポジティブ思考」の神髄
今「ポジティブ心理学」が注目されています。この世に生を受けたあなたに与えられた時間をいかに幸福感を持って過ごすか? これは誰にとっても、とても重要です。そのヒントを大谷選手は私たちに教えてくれます。彼ほどポジティブ思考の持ち主はなかなか見当たりません。あるとき、彼はこう語っています。
「良くても悪くても、どんどん変えていくっていうのは良いところじゃないかなと思いますね。なんて言うんだろう……現状を守りにいかないという性格ではあるので、まあ、すごくいい状態のときでも、それを維持していこうというよりも、それを超える技術をもう一つ試してみようかなと思う。挑戦してみようかなというマインドがあるのは、得なところだと思います」(『道ひらく、海わたる 大谷翔平の素顔』扶桑社)
多くの人々が「ポジティブ思考」とは、物事の良い面だけを見て楽観的になること」と考えています。しかし、それは明らかに間違っています。
真のポジティブ思考とは、「物事をありのままに受け止めて、それをより良くするために全身全霊をかけてベストを尽くすこと」なのです。
著名な心理学者で「ポジティブ心理学」の権威であるタル・ベン・シャハー博士は、「4つの幸せモデル」を提唱しています。これを簡単に解説しましょう。彼はそれらを「至福型」「快楽型」「出世競争型」「悲観型」と名付けました。図表7にそれを示します。

横軸は現在の利益と不利益であり、縦軸は未来の利益と不利益です。それぞれの領域の特徴を、ハンバーガーで示しています。4つのタイプを簡単に解説しましょう。
4つの幸せモデルとは?
1.至福型の人間
このタイプの人間は未来の利益だけでなく、現在の利益も獲得しています。彼が食べるのは、「理想的なバーガー」です。栄養バランスが整っているだけでなく、味も申し分ないバーガーです。もちろん、大谷選手がこのタイプの人間であることは言うまでもありません。
大谷選手は未来をみすえながら意欲的に練習に取り組み、ハッピーな気分を維持しながらゲームを楽しんでいるから、凄いパフォーマンスを発揮できるのです。
前述の通り、彼が行っている練習は「やらされる練習」ではなく、自主的に立案した納得できる練習メニューです。当然のことながら、それが彼の輝かしい成績やパフォーマンスを実現している大きな要素なのです。
2.出世競争型の人間
このタイプの人間は、努力においては「至福型の人間」にひけを取りません。しかし、それはあくまでも「やらされる練習」であり、とても不快な心理状態で行っているため、時間をかける割に、その効果は期待できません。彼らが食べているのは「ベジタリアン・バーガー」です。健康には良いが、美味しくないバーガーです。
つまり、彼らのモットーは「痛みなくして成長なし!」という古いタイプの信条であり、現在の喜びを犠牲にして未来の喜びを獲得しようとします。
もちろん、「快楽型の人間」や「悲観型の人間」よりも未来の利益を得られますが、「至福型の人間」のそれには到底かなわないのです。
3.快楽型の人間
このタイプの人間は、現在の快楽を優先させるせいで長い目で見ると、不幸や苦痛がもたらされます。
彼らが食べているのは、そこそこおいしくて手っ取り早く空腹を満たせるけれど、健康に悪影響をもたらす「ジャンクフード・バーガー」です。
彼らは、目標もなく、ひたすら快楽だけを追求するため、成長はほとんど期待できません。それどころか、堕落して惨めな未来が待ち構えている可能性もあるのです。
4.悲観型の人間
このタイプの人間は4つのタイプの中で、もっともモチベーションが低いのです。
過去の失敗に囚われ、今もこれからも自分が幸せになることなど無理だと思い込み、すべてに投げやりになっています。
彼らが食べているのは、まずいだけでなく健康にも悪影響を及ぼす「最悪のバーガー」です。当然のことながら、彼らは成長するどころか、奈落の底に落ちていくのです。
結論です。これからの時代で成功を収める人間は、間違いなく大谷選手のような「至福型人間」なのです。

『「できない」を「できる」に変える 大谷翔平の思考法』(アスコム)
児玉 光雄 (著)

2023/10/21
1,397円(税込)
新書 : 216ページ
4776213230
大谷選手を超一流のアスリートへ飛躍させた思考法を完全凝縮。
私たちは、大谷選手が突然凄い才能を獲得したような錯覚を持ちます。しかし、事実はそうではありません。
大谷選手はプロセスを徹底的に追求することの大切さを誰よりも理解しています。
つまり、「結果」ではなく「プロセス」に意識を置いているのです。それが、世界で活躍し続ける思考法の所以なのです。
「大きな夢は小さな目標の総量である」
「1日単位で完全燃焼!」の覚悟を持って自分の目の前にある「小さな行動の完遂」や
「小さな目標の実現」に果敢に取り組む。その小さな習慣こそが偉大な成果を上げる必須の要素なのです。
昨日より今日、今日より明日。自分史上最高の自分にめぐり逢うための、「ポジティブ思考」の神髄をあなたに。
【目次】
大谷翔平選手の成功方程式を読み解く
第1章 大谷翔平選手のような一握りの超一流の人たちの共通点
第2章 大谷翔平選手に学ぶ夢をかなえる目標設定理論
第3章 大谷翔平選手の成功思考の秘訣を教えよう
第4章 大谷翔平選手の直感力が彼を偉大なメジャーリーガーに仕立てた
第5章 大谷翔平選手が教えてくれる仕事で成果を上げる秘訣
関連記事

WBC決勝の対米国戦で大谷翔平に「ゾーン」が降りてきたことは間違いない…スポーツ心理学が解明する先入観を覆して不可能を可能にする大谷の頭の中
大谷翔平思考法 #1


二刀流も実現⁉ 大谷翔平のWBC出場に必要な「3つのポイント」

好物は焼肉、大の苦手はトマト。大谷翔平をつくる食生活のリアル


新着記事


【漫画】「40歳手前のハゲかけたオッサンがまだ偶然の出会いに期待してるのか?」友人の厳しい指摘からマッチングアプリを始めてみたが…
#3 薄毛でも似合うタイプのやつがいる