自由に生きるために必要な年収は?

若者たちの間で「FI(Financial Independence:経済的独立)」が目標になっているという。

パワハラやセクハラにあっても会社を辞められないのも、DVに耐えて離婚を切り出せないのも、会社や夫に生活を依存しているからだ。年金生活者の多くは国家に老後の生活を依存しており、その不安が巨大な政治圧力となって「シルバー民主主義」が生まれる。自由な人生を送るには経済的な「土台」が必要なのだ。

自由になるためにはお金が必要だとして、一体いくらあればいいのだろうか。100万円ではぜんぜん足りないが、100億円はいらないということは、誰だってわかるだろう。人間には使える金額に物理的・生物学的な限界があり、お城のような豪邸に住む、プライベートジェットや大型クルーザーを所有する、月旅行に行く、などを望まない限り(ちなみに、どれも私はまったく興味がない)、お金の使い道なんてそんなにないのだ。

だとしたら、目標にする収入や貯金額はいくらにすべきか?

その答えは、「富の限界効用が逓減(ていげん)して平衡状態になるまで」ということになる。限界効用の逓減とはなにか? これは経済学の基本だが、ぜんぜん難しい話ではない。

賢い若者だけが気づいている「幸福を感じる限界は年収800万円」だからこそ、お金の次に大切なこと_1
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暑い日の喉がからからに渇いたときに飲む炭酸飲料の最初の1口目がものすごく美味しいことは、みんな知っているだろう。でもこの美味しさはだんだん減っていって、2本も3本も飲みたいとは思わない。