「サラリーマン」という和製英語

終身雇用・年功序列の日本的雇用は「メンバーシップ型」で、それを「ジョブ型」に変えていかなくてはならないといわれている。このときに(おそらくは意図的に)触れられないのは、ジョブ型雇用を徹底するとサラリーマンが“絶滅”することだ。

いまだに多くの日本人は理解していないが、「サラリーマン」というのは和製英語で、外国ではまったく通じない。

「お仕事は?」と訊くと、ほとんどの日本人は(たとえば)「トヨタです」と会社名を答える。だが海外では、これはトヨタの工場で自動車の組み立てをやっていると理解される。仕事と会社が一体化しているのは、工場労働者やバックオフィスの事務系の仕事だけだからだ。それに対して専門職は、「車のデザインをしている」など自分のジョブを答える。

賢い若者だけが気づいている「絶滅危惧種サラリーマン」という日本的雇用形態の限界_1
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私がこの違いに気づいたのは、ずいぶん前に中国を旅行していたときだ。若いアメリカ人とレストランで同じテーブルになって、「どこに行ったの?」「どこに行くの?」がひととおり終わって、それ以外に共通の話題がないので「なにしているの?」と訊くと「会計士Accountant」だという。

会計士というのは企業の会計監査などをやっているイメージだから、そのつもりで話をしていると、どこかかみ合わない。それでよく聞いてみると、彼の仕事は地方の中小企業の経理だった。