「資産額が多い=幸福」は人生を単純化しすぎ

筆者はファイナンシャルプランナーであり、僕自身、お金は幸福な人生を実現するための道具であって、幸福の定義によって必要なお金の量や使い方は異なると考えています。しかし、近年では「資産額が多い=幸福」と単純化している人を多く見かけます。

まず大前提として幸福というのは主観であり、あなたが何に幸福を感じるのかを知っておかなければ幸福な人生をデザインすることができません。

あなたにとって幸福な状態とはどんな状態でしょうか?
そして、あなたはどうありたいですか?

もし、あなたがお金を1円でも増やすことが最大の幸福と感じるのであれば若いうちから老後に向けて投資をすることは正しいです。だけど、そうでないのであれば、あなたの幸福の定義においてどうお金を使えばいいかをまず考えてみるべきです。

また多くの人は金融資本ばかり意識しますが、人生には金融資本だけではなく時間や健康といった見えない資源も存在します。若いうちは時間と健康という資源を多く保有し、反対に金融資本を持っていないため、保有する資源を活用し金融資本を手にします。

しかし、時間は有限であり、目にすることができないため、資源が枯渇しそうになって初めて認識するようになります。ゆえによく聞く「若いときにもっと好きなことをすれば良かった」という言葉が出てくるわけです。

また時間があっても健康でなれば、お金から得る効用は大きく下がります。

あなたにどれだけ時間があって、お金があろうとも健康状態によっては好きなものを食べることが難しいかもしれません。またどれだけ素晴らしい映画を映画館で見ようとしても座り続けることが苦痛になれば、映画を心から本当に楽しむことも難しくなります。

そう考えると、お金を使って得られる効用は「健康」であることが大前提であり、身体機能が低下するほど効用は落ちると考えられます。しかし、若いうちは健康な状態がずっと続くと思ってしまうため、楽しみを先に取っておこうとするのですね。

だからこそ、もし自分が健康でいられる期間が限られていると知ったときに「これだけはしておきたい」と思うことがあるのであれば、やっておく方がいいのではないでしょうか。

僕自身、大阪生まれの大阪育ちでしたが、35歳で妻のふるさとである高知県に完全移住しました。仕事のことを考えると大阪に居続ける方が良かったのですが、それでも地方移住の夢を先延ばしせず、若い間に移住できたことは非常に良い決断だったと思っています。