あなたが先輩や上司の立場なら、気づかぬうちに「とっつきにくい先輩」になってはいないでしょうか。心当たりのある方はきっと、後輩や部下の意見に耳を傾けていないのでは。
“職場で信頼される人”がやっている5つのこと
職場で幅広い層から信頼され、「できる」と評価される人は「気くばり上手」であることが多い。『人間関係がうまくいく 働く女子の気くばり新常識100』(リベラル社)の著者、池野佐知子さんによれば、「気くばりにも時代の変化に伴ってムードやニュアンス、タイミングなどに変化が生じている」のだとか。同書から一部を抜粋・再構成し、職場で信頼される人がやっている「リアルな気くばり術」を紹介する。
好かれる人の「気くばり新常識」 #1
「先輩に意見を聞かれてうれしかった」が92%

「何かを始めるとき、後輩や部下にも必ず『○○さんはどう思う?』と先に聞いてくれる先輩がいます。そう聞かれると、信頼されているんだなぁと実感できてうれしくなります」(広告・27歳)
「先輩に意見を聞かれてうれしかった」と答えた人は92%もいました。今の時代、後輩や部下に「信頼している」と伝えるためには、「どう思う?」と意見を聞くことはとても大事で、それによって思いがけない良い意見が聞けることもあります。
逆にあなたが後輩や部下の立場なら、「○○さんの意見を聞いてみたくて」と相談を。誰でも頼りにされるとうれしいもの。ただし、相手がとても忙しそうで、それどころではないように見受けられるときは要注意。相談はタイミングをみて、が基本です。
ときには先輩に馴れ馴れしく接する
意見交換が活発な「風通しの良い職場」は理想ですが、新人、後輩の立場からすると、年上の方と接するとなると少し緊張しますよね。実際、「年下の人には礼儀正しく接してほしい」と答えた人は62%。 ただし、「仲の良い年下の人には、親しみを持って馴れ馴れしく接してほしい」という人も66%いました。ココ、注目ポイントです。
「仲良しなら、年下の友達や後輩ちゃんに馴れ馴れしく接してもらうほうが愛されている感じがします。彼女たちも年上の私を馴染みやすくしてくれるんだなぁ、と気遣いを感じます」(商社・33歳)
「先輩はなんでも知っているからココ教えてください」(薬品・29歳)とか「困ったときはなんでも○○さんに聞こうって決めてるんです」(食品・28歳)、さらには「今日は先輩のご馳走だからトッピングつけちゃお!」(商社・31歳)といった後輩のかわいげある振る舞いには、先輩もついつい頬が緩んでしまうようです。
ただし、馴れ馴れしくといっても、くだけすぎないこと。ずうずうしいのは当然、NGです。相手の性格を考えてのふるまいを忘れずに。
一方で先輩世代からすると、後輩は「自分が教える立場」だと思いがちですが、彼らにも知識豊富な分野は絶対にあります。
「私が福岡出身と聞いて、隣のセクションの先輩が『福岡の美味しいお店教えて〜』と。地元の友達にも聞いてリストを渡したら、『ココとココに行ったよ。どちらも良かった』とLINEをくださって、お土産までいただいちゃいました。先輩との距離が縮んでうれしかったです」(デペロッパー・25歳)
自分の得意分野で、先輩の役に立てたらうれしいと考える後輩は少なくないでしょう。時には後輩に甘えてすがる、これもひとつの気くばりといえるかもしれません。
ミスをして落ち込でいる相手には自分の失敗談をシェア

仕事でミスをして、「終わった……」と思うことは誰にでもあります。「そんなときにいちばんの薬になったことは?」を聞くと、「話を聞いてくれた後で、自分の失敗談を話してくれる」という回答が1位となりました。
「仕事で大きなミスをしてしまった翌日、ランチ時に先輩が自分の失敗談ばかりを話してくれました。お会計時には『仕事頑張ってるから、今日だけ私のおごりね』とひと言。ステキです」(飲料水・25歳)
後輩からすれば「無敵に見える先輩にも、そんな失敗があったのか」と思うと慰められます。失敗はつらいけれど、誰にでもあること。大丈夫、大丈夫、と背中をさする気持ちで、自分の経験を相手とシェアしてあげてください。
何度目でも「初めて」のつもりで傾聴する
上司など目上の人が、仕事の成功談や武勇伝など、同じエピソードを何度も話してきて困ることはないでしょうか。そんなときこそ、気くばりの出番。
「学生時代からの3人グループなのですが、1人が何度か同じ話を繰り返す。私はついつい『それ聞いた』と言っちゃいがちなんですが、彼女が気持ちよさそうに話しているときは、もうひとりの友達は初めて聞いたように笑ったり怒ったり。『何度聞いても面白いから』と笑っていましたが、究極の気くばりだなぁと思います」(商社・24歳)
「相手が楽しそうにしているならそれでいい」と思えるようになれば、立派な気くばり上手です。
忙しい人の猫の手になる
気くばりをするためには「目くばり」も大事だと言われますが、ビジネスでもプライベートでも、忙しそうな人を見つけてさりげなくフォローできる人っていますよね。
「休日出勤が続いていることを知った後輩が『先輩、代わりにこの会社の営業行ってきますよ。私の担当の隣の会社ですから』と言ってくれました」(飲料水・29歳)
「いつもテンパっている私を察して、フォローしてくれる先輩がいます。お礼を伝えると『差し出がましいかなと思ったんだけど、忙しすぎるときは遠慮せずに言ってね。一応、先輩だから(笑)』と言ってくれます。素敵すぎます」(損害保険・25歳)
上下の立場関係なく、仕事を抱えすぎている人を、自分ができる範囲でフォローする。これができれば、社内でも一目置かれる存在になることでしょう。
写真/shutterstock
人間関係がうまくいく 働く女子の気くばり新常識100
池野 佐知子
2022/1/17
¥1,320
240ページ
4434298623(ISBN-10 )
978-4434298622(ISBN-13)
「サンデー毎日」で25年続く人気連載「OL400人は考える それってどうよ!?」の著者が選んだ、現場で役立つ好かれる人がやっている気くばりが満載。働く女子400人強へのアンケートデータに寄せられた生の声から、定番&イマドキの気くばり、オンライン・SNSでの気くばりがよくわかる。