賢人と愚人をわけるもの

「天は人の上に人を造らず」といえば、福沢諭吉の『学問のすゝめ』にある一説としてあまりにも有名だ。この言葉は、人間の平等を説いたものだが、岡崎氏は同書から別の言葉を引用し、こう説明する。

「福沢諭吉の『学問のすゝめ』には『されば賢人と愚人との別は学ぶと学ばざるとによりて出来るものなり』とも書かれています。つまり人は生まれによって差はついていないけれども、学びによってその差が出るということ。だから我々は、学び続けなければならないんです」

では、転職を考えている人にとって今、学ぶべきことは何なのだろうか。

「まず転職において大事なのは、結果的に自分の価値や能力を高められるかどうか。そのうえで学ぶべきことは、大きく3つあると思っています。1つ目は、お金について勉強すること。

日本では今、年収1000万円ぐらいの方々の破産リスクがいちばん高いと言われています。なぜかというと、ある程度何でも買えてしまうから。ついついローンで欲しいものを買ってしまった結果、月々の支払が増える。でも今の世の中は不安定なので、会社が突然、潰れてもおかしくない。もしくはダウンサイジングで給料が少なくなり、結果的には支払えなくなって破産をする。現実的にそうしたことがあるわけです。

専門的な知識をつけなさいとまでは言いませんが、最低でも『今の収入と支出のバランス』や『将来必要なお金はどのくらいか』『ケガや病気などのリスクが発生したときに、どの程度お金があれば回避できるのか』などの対策は、きちんとしておく必要があるでしょう」

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SNSでヤバい投稿はしていませんか?

ところで、TwitterやFacebook、Instagramなど、日常的にSNSを利用している人は、普段どんな投稿をしているだろうか。たとえプライベートでしか利用していないとしても、その投稿は自分自身やほかのだれかにとって有益なものだろうか。岡崎氏は、転職前に学ぶべきことの2つ目としてSNSを挙げている。

「今は社会的な信用がそのままその人の資産になる時代です。評価経済・信用経済という言葉がありますが、これは要するに、その人が今どれだけの信用を蓄えているかによって評価される世の中である、ということ。この社会的信用を計るバロメーターのひとつになっているのがSNSなのです」

こう聞くと、じゃあフォロワー数が多ければいいのか、と早合点しそうになるが、そうではない。

「もちろんフォロワーは多いに越したことはないんですが、ここで大事なのは、自分の投稿が他人から信頼される投稿になっているかどうかです。たとえ匿名性が高いメディアだったとしても、今は何かトラブルがあれば、情報開示請求によって個人名までさらされる時代になっています。なので、匿名情報まで含めて、他人にとって有益で、信用される投稿を心掛けましょう。

もっと言えば、SNSを利用することは自分のメディアを持つということですから、自身のSNSをちゃんと育てて発信力も身につけておくのが理想ですね」