#1 「おもろい」を追求する「くら寿司」人気ネタベスト5と本当は知られたくない一品

“寿司テロ”対策の裏には「見えないところを大切に」する

2023年2月、各回転寿司チェーンに火の粉が降りかかった。回転寿司店にて「しょうゆ差しや皿を舐める」という迷惑動画がSNSで拡散され、瞬く間にその様子は大勢の人の目に触れることになった。

「くら寿司」も例外ではなく、突然の有事に晒されたが、その対応は迅速だった。事件が起きたわずか1か月後に記者会見を開き、新AIカメラシステムの導入を発表。

広報の岡本さんは「お客様からの信頼を取り戻すため、一刻も早く会社の方針や対策を明示する必要があった」と話す。

「実は以前から、抗菌寿司カバーにあるQRタグで、『この寿司ネタはレーンに何皿流れているのか』というのをAIで検知していました。衛生面の観点から、一定時間経ったら廃棄するシステムの一環で、AIテクノロジーを活用していたんです。それを迷惑動画を防止するために、システム改修を行うだけで済んだのが、スピーディな導入につながりました」

「くら寿司」の逆襲! 「海外への店舗展開」と「くらの逸品シリーズ」で寿司テロによる逆境に立ち向かう2つの挑戦_1
しょうゆ差しなど、備品はすべて片付けの際に入れ替える「クリーンテーブル」も全国で順次導入している
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今回の件を受け、今後の回転寿司業界は「寿司をレーンで流すお店」と「レーンにお寿司を流さず、注文だけで対応するお店」の二極化が進むと岡本さんは予測する。

「創業以来、くら寿司はお客様に楽しんでもらうのを非常に大切にしてきたので、『お寿司を回すために何ができるのか』をしっかりと考え、対策を打ちました」

幸いにも、集客面や売り上げにはあまり影響が出ずに事なきを得たという。

「社内の風土として『見えないところを大切に』というのが根付いていて、日頃から安心・安全を心がけ、有事に備えていることを知ってもらうきっかけになりました。新しいAIカメラシステムを導入したことで、迷惑行為を行う模倣者が出ないよう、切に願うばかりです」

くら寿司は、大阪を起源とする回転寿司文化の継承・発展させていくためにも、コロナ禍での苦境や迷惑動画に屈せず、粛々とビジネスを展開していくそうだ。