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『怒り』と『愛』が原点にある日本一のビジネスモデルだ

小野里寧晃(以下、小野里)  大前さんが主宰する新しい時代のビジネスモデル創造を志す企業経営者のネットワーク「向研会」で講演させていただいたのが最初のご縁でしたね。その後、経営者仲間や先輩がたくさんできたのですが、大前さんがことあるごとにバニッシュ・スタンダードを褒めてくださっていると聞いて、うれしく思っています。

元ギャル男社長が渋谷のストリートで学んだ日本一のビジネスモデル。“年収1000万円の店舗スタッフ”を誕生させるためにブラック職場のアパレル・小売り業界に起こした革命_1
小野里寧晃さん(左)と大前研一さん(右)
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大前研一(以下、大前) 本当にいい会社だし、「日本一のビジネスモデル」だと思っている。僕は明治時代にさかのぼっていろいろな経営者を研究してきたが、小野里くんの事業がすごく意義があると思うのは、「怒り」というものが原点にあるから。特に店舗スタッフの方々はパートやアルバイトも多く、給料が逆立ちしても上がらないところがほとんど。美容関係も同様です。

岸田文雄総理は「給料を上げろ」と言って、給料を上げた会社には税制優遇や公共事業の受注の優遇をするとしているが、そんなおかしなやり方はない。一律に給料を上げろなんて、資本主義を壊すようなものだから。それ以上に、生産性が上がらないと給料は上げられないし、生産性が上がって人が余ったら辞めて外に出てもいいようにしなければならないのに、「クビにしないでそのまま雇い続けろ」と言ったら企業は儲からない。儲からないコストの高い会社に公共事業を発注するのは、国民に対する裏切りになる。こんなの、新資本主義でもなんでもないでしょう。

元ギャル男社長が渋谷のストリートで学んだ日本一のビジネスモデル。“年収1000万円の店舗スタッフ”を誕生させるためにブラック職場のアパレル・小売り業界に起こした革命_2
「スタッフスタート」のビジネスモデル

小野里 おっしゃる通り、アパレルや小売業界では、若い人だと手取20万円に届かない方も多いんですよね。長時間労働も当たり前ですし。

大前 それが、バニッシュ・スタンダードのサービスを使うと、本人の努力次第で自分の稼ぎを上げることができる。怒りに対して、解決策を出した。そしてこの仕組みには、ものすごく愛を感じます。素晴らしいと思う。