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新たな日銀総裁・植田氏に期待される政策とは?

2023年2月10日(金曜日)、日銀の新総裁として植田和男氏(東京大学名誉教授、マクロ経済学者で元日銀審議委員)が黒田日銀総裁の後任として起用されることが発表された。

その直後から一時的には、為替市場も株式市場も波乱含みの様相を呈していたが、個人的な見立てではあるが、為替市場、特にドル/円のマーケット、そして円金利市場、さらには株式市場のいずれに与える影響いずれも、当面は限定的に過ぎないと見ている。

元米財務長官でマクロ経済学者のラリー・サマーズ氏は、「日本のベン・バーナンキだと考えてもいいだろう」と評している。さらに植田氏が、バーナンキ元FRB議長と、ほぼ同じ時期に米マサチューセッツ工科大学(MIT)で学び、同氏の論文の指導者も同じであったことも指摘。

「植田氏はバーナンキ氏と金融経済における同じような分野を専門とし、穏やかで学者らしい学問的な話し方をするが、決断力もある」とリップ・サービスさながらだった。

ただ続けて、「日本では極めて複雑な問題が待ち受けている。イールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)政策をいつまでも維持することはできないと思う。植田氏の能力が試されることになる」と語った。この文言でサマーズが言いたいところはここだ。イールドカーブコントロールをいつまでも続けることはできないぞ!ということが、含意である。

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一方、植田氏のマーケットに対するリップ・サービスとして、2023年2月10日時点でのメディアのインタビューに対して、「現状では金融緩和の継続が必要だ」と当時の黒田総裁の異次元緩和路線をサポートしている。

そして植田氏に関して参考にできるエピソードとしては、次のようなものがある。日銀は1999年に先進国で初めてゼロ金利政策を導入したのだが、グローバルマクロ的な経済の認識を見誤った結果、拙速にも2000年にゼロ金利政策を解除してしまい、日本経済の景気回復をさせられず、この政策は失敗に終わる結果となった。

この当時の金融政策決定のメンバーは、総裁と副総裁を含めて9名であり、ゼロ金利解除に賛成票7名に対して解除に反対した2名だけだった。そのうちの一人が植田審議委員であった。

ほかにもポイントとなるのは、大蔵省(財務省)官僚畑出身の黒田氏や、企業買収のプライベート・エクイティ・ファンド畑出身のパウエルFRB議長とは違って、グローバルマクロ経済を専門にしている学者畑出身という点である。

例えば金融危機の際にも、グローバルな視点で日本の立ち位置や状況を判断し、論理的かつ迅速な対応ができると期待されていることであろう。