
TV局発のファッションブランド「Audire」。全ての働く人たちが勇気もらえる、日本テレビ郡司恭子アナウンサーの挑戦とは
日本テレビが事業を展開するブランド「Audire(アウディーレ)」。運営チームを代表する郡司恭子さんに、その奮闘を聞いた。
日本テレビのアナウンサーの声から生まれた「Audire(アウディーレ)」を知っているだろうか? 昨年9月に誕生し、今年3月に、ローンチから半年を迎える。
ラテン語で「聴く」を意味し、現代を生きる女性の「声」に寄り添うことを掲げたファッションブランドだ。コンセプトである「Wear the Voice(心地良いわたしをまとう)」を軸に、現代女性がどんなシーンでも心地よさをまとえる洋服を提供している。
今回、提案者としてチームを代表する郡司恭子さんに、企画からローンチまでの経緯や、社内ベンチャー立ち上げにおける軌跡を語ってもらった。

社内10部署を行脚し企画を立ち上げた
──「Audire」がローンチしてから、どんな反響がありましたか?
ニュースで取り上げてくださるメディアのみなさんはもちろん、社内からの反響がとても大きかったことが一番の驚きでした。
エレベータで乗り合わせた人から「ニュース見たよー」「どこで買えるの?」と声をかけてもらったり、新しい挑戦に対してエールをいただけたり。
──社内の反応が驚きだったのはなぜですか?
企画書を書いたところから1年がかりでローンチに至ったのですが、私たちが特に丁寧に作業したのが社内の調整でした。
アナウンサーは会社員であり、メディアに出る仕事でもある。本業ではないことに挑戦することに対しネガティブな声もあるのでは?と指摘されるなかで、ずっと準備をしてきたんです。
もちろんエールもありましたが、正直、心配をしてくださるからこその厳しい声が大きかったと感じています。
──何部署くらい行脚して理解を求めたのでしょう?
社長室、新規事業部、編成部など…全部で10部署くらいでしょうか(笑)。各部署から様々な宿題を出されるイメージ。その宿題をどのようにクリアできるかという戦いでした。
「Audire」のローンチは昨年9月でしたが、日本テレビの人事が大きく変わったのがその3か月前、6月のタイミングでした。会社の体制なども変わる中、これまでとは異なる視点でのフィードバックがさらに増えて。
もしかしたら予定していた9月にローンチできないかもしれない、という危機感もありました。この時は、先が見えない不安が募るばかりでしたが、手を止めることも怖くて出来ず…とにかくもがいて目の前に出されたフィードバックや“宿題”に取り組み続けました。

15本書いた企画書が全てボツに
──そもそも、郡司さんは「Audire」を立ち上げる前にも、さまざまな企画を提案していたとか?
3年前ポストコロナという言葉とともに、働き方がリモートになったり、周囲のキャリアが目まぐるしく変わったりしていくなかで、自分だけ何も変わらないことが不安でした。
年齢的にも30歳手前。仕事を覚えるために20代はとにかく必死でした。やっと仕事を覚え、“若手”を抜けた達成感で両手を伸ばしたいタイミングのはずなのに、ふと、「私、これからどうするんだっけ?」という、漠然とした不安を感じるようになったんです。
──ある程度仕事を覚えたら、次は自分らしさとは何かに直面したりします。
「郡司恭子の魅力はこれです!」と言えるものがなく、アナウンサーとして人と比べてしまうこともありましたね。
周りを羨ましく思ったり、落ち込んだりすることもあったけれど、「そんな自分を嫌いになるのはやめよう。悩みを受け入れながら何か生み出せないかな?」と思って書き始めたのが、企画書だったんです。
日本テレビには企画募集制度があり、誰でも提案することができるので、大好きだった韓国ドラマのリメイク企画やバラエティ企画を応募し始めました。
──いくつくらい提案したんですか?
全部で15企画くらいですかね。でも実現には至らず、へこみました(笑)
そんななか、私がいくつも企画を提出していることを知っていた人を通じて、CEORY 社から日本テレビに対してアパレル事業の提案があったことを聞きました。
そもそも私は、ドラマのプロデューサーをしている同期と一緒に企画を考えていたときに、「ドラマの主人公が着ている服を、ボタンを押してそのまま買えるようなサービスが作れたらいいよね」と話していたくらい服に興味があって。
水卜アナや徳島アナと一緒に出掛けて、ふたりに似合う服を選ぶこともあります。2人のクローゼットはだいたい把握していますね(笑)。それぐらい洋服が大好きで。
他社のプロモーションにアナウンサーが関わる事は難しいけれど、自社事業としてアナウンサーが取り組むのであれば実現できるのではないかと思い、「企画書を書かせてほしい」とお願いしたことが、ブランド「Audire」の始まりでした。

プレゼンは十八番。Audireの全てを担当
──「Audire」は、どのような思いから生まれたのでしょう?
今回の事業は、働く女性・家庭を支える女性たちの声を落とし込んだプロダクトを作ることが目的。情報を伝えるアナウンサーが、プロダクトを通してコミュニティを創出できるような事業にしたいと提案しました。
自身のキャリアについて考えた時に、アナウンサーという専門職の車輪は大切にしつつ、新規事業というビジネスに携わる、もうひとつの車輪を一緒に回していくキャリアがあってもいいんじゃないかと思ったんです。
上司も、アナウンス部の同僚たちも、その新しい選択と気持ちを応援したいと話してくれました。
──行動力がありますね。
こんなにもエネルギーが眠っていたんだと、私自身も気付かされました。作り手への興味は、入社以来ずっとありましたから。
私らしさとは何かに悩み、モヤモヤするゆらぎと寄り添いながら、新しい自分に出会いたい……。その思いは、商談のためプレゼンテーションに伺う先の女性たちに共感してもらえることが多いです。
──具体的に、郡司さんはどんなお仕事をされているのでしょう?
「Audire」の事業運営です。アナウンス部全体の事業として立ち上げたので、まずはアナウンサーの声を集めることが大きな仕事。
感度の高い人が多いので、デザインを考える際の大変さは感じないのですが、関わる人数が多い分、それをとりまとめる大変さはあります。
私は、アナウンサーの声をブランドの運営に落とし込むために、CEORY社との窓口を担当しているイメージです。
ECサイト・インスタグラムのブランディングや管理も試行錯誤しながら…。リーチやエンゲージ、クリック数などの分析をもとに、ビジュアル撮影の方向性・コーディネートを決めています。撮影に向けての準備、予算の進捗なども把握して事業運営しています。
ビジネスに携わるのは初めてなので、各業界で働く学生時代の友人を頼り、アパレル業界の方を紹介していただいたり、ビジネスアイデアのヒントをもらったりすることもあります。生地屋さんや、ニット工場の方とコミュニケーションを取るなど、仕事は多岐にわたります。
何をしているのか聞かれたら、本当に「全部」というのがベストな答え。ただし、「CEORY」社というアパレルのプロに、専門的な部分は助けていただいています。情熱を持って始めたことなので、苦労しているという感覚はありませんね。
──アナウンサーというお仕事との違いに戸惑うことは?
新しく学ばなければいけないことはもちろんあるんです。「SKU」とか、「フィジビリティ」とか、ビジネスで出てくる横文字は勉強しました(笑)。
ただ、プレゼンは私の十八番ですし、「Audire」はチームで作り上げている事業。他部署との連携などは、放送業務に携わるなかで培ってきました。10年間、アナウンサーとして経験してきたことが、しっかり応用できている実感はあります。

取材・文/松山梢 撮影/石田壮一 ヘア&メイク/東川綾子 シャツ・スカート/ともにAudire
Audire ポップアップストア
2023年3月16日(木)〜2023年3月29日(水) の期間、東京・渋谷スクランブルスクエア ショップ&レストラン5階 +Q(プラスク)グッズ内 Event Stage 5Aにて開催予定。営業時間:10:00~21:00 入場無料
詳しくはこちらへhttps://audire.jp/
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