「下剋上ずもうの巻」(ジャンプ・コミックス第169巻収録)

今回は、テレビ番組『勝ち抜き下克上ずもう』で無双する両さんの大進撃を追ったお話をお届けする。

この番組は、起業の社長から平社員までがさまざまな競技で総当たり戦を行うものだ。

若手がお偉いさんをぶっ倒す爽快感を提供して人気番組となるが、組織内での立場や出世などを思い、偉い相手には手心を加えて勝たせ、花を持たせるように。接待ゴルフなど仕事絡みの競技では当たり前のように見られる光景だが、これでは番組の最大の売りがなくなってしまう……。

そこで番組の制作者は、縦割り組織の総本山とでも言うべき警視庁と、金のためならなんでもやる男、そう、両津勘吉を召喚する。

両さんは、警視を、新葛飾署の署長である屯田五目須(とんだ・ごめす)警視正を、元相撲取りの警視監を次々と打ち破り、そしてついには、警視総監との対戦を迎える。「警視庁を敵にまわすことになるぞ」と脅された両さんだったが!?

ちなみに、上司を立てるのに不可欠な「空気を読む」という日本独自の行動だが、これは一説に寄れば1970年代の社会学の研究書での提唱が語源だという。一般的に耳にし、日常会話で使われるようになったのは、テレビのお笑い芸人の「業界用語」的な言い回しがきっかけだろう。

「空気を読む」行為は、2000年代になると「KY=空気が読めない、空気を読め」という俗語を発生させ、政治的スキャンダルにおいて権力者の利となるような恣意的行為を指す意味で使われた、ネガティブな意味での「忖度」という言葉を流行させた。

なお両さんは、最後まで「空気を読む」ことを完全に拒否して、警視総監を投げ飛ばす! しかしその結果、とあるところに「飛ばされる」ことに……?

それでは次のページから、忖度無用な両さんの、大無双勝負の行く末をお楽しみください!!