大箱でおこなわれたカネコアヤノのライブと、ハードコアの殿堂でおこなわれた流血劇
2022年3月。
ライブ活動(観る専)の復活宣言をした僕は、その月2本目のライブ鑑賞のため、東京・お台場にある会場へと赴いた。
ブレイク寸前の女性シンガーソングライター、カネコアヤノ(註40)のライブである。
おっさんがこんなことを言うとキモいかもしれないけど、カネコアヤノの曲は本当にいい!
前から一度、ライブを観たいと思っていて念願叶った。
生で聴くその歌声はとてもキュートでエモーショナルで、ビシビシ感じるものがあった。
大好きかもしんない。
註40 学生だった2012年頃から音楽活動を開始し、2014年にメジャーデビューしたシンガーソングライター。町田町蔵やはっぴいえんど、たま、スピッツ、戸川純などから影響を受けたというその音楽性から、あいみょんに続き“おじさん心をつかむ女性シンガー”としてますます注目を浴びそうだと、僕は見ている。
このライブ、実は招待枠で行ったので、2階の関係者席で観た(註41)。
Zepp DiverCity(註42)という本来ならオールスタンディング対応の大箱(註43)。
弾き語り&バンド形式という二刀流(註44)のカネコアヤノの、バンドライブだったので、アーティスト側も客側も本当はスタンディングのライブを望んでいたところだろうが、全席指定の着席ライブだった。
その日は東京電力および政府から節電が呼びかけられていて(註45)、20時ごろに計画停電があるかもしれないという話だった。
カネコアヤノ本人もMCで言っていたが(註46)、終始ヒヤヒヤしつつもどこかワクワクした気持ちでライブは進行し、結局、何事もなく無事終了。
客は皆、席に座ったまま軽く体を揺すったり、ときに拳を突き上げたりしていたが、禁止されている声援や歌は控えていて、ああ、これが今どきのライブなんだなあと思わざるを得なかった。
でも、アンコール前の最後の1曲だけは、皆が立ち上がって大きく盛り上がっていたので、ああ、以前のようなライブを味わえてよかった〜とちょっとだけ安心した。
註41 ごくたまに招待されたライブに行くことがあるけど、関係者席はあまり好きではない。
註42 東京のお台場地区にある商業施設、ダイバーシティ東京プラザ内の大規模ライブハウス。2012年にオープン。来日バンドの公演も多い。
註43 「箱」はライブハウスを表す業界用語。Zeppを含め都内には何ヵ所もある「大箱」「デカ箱」と呼ばれる大規模ライブハウスは、キャパ1000人以上くらいからなのかな?
註44 全部同じ曲で、バンド版と弾き語り版の2枚のアルバムを出したりしている。
註45 3月16日夜に東北を中心に起こった最大震度6強の地震の影響によるものと言われていたが、どうして電力不足になるのかその仕組みは忘れた。
註46 ライブでほとんどMCをせず、演奏に集中するのがカネコアヤノのスタイルらしい。この日は一度だけ、アンコールの曲を演奏する前にMCを挟んだ。
そして最後は3月27日、日本のハードコアの殿堂である新宿「ANTINOCK」でおこなわれた『DIRTY SCUM PARADE』(註47)というイベントだった。
註47 流血ブリザード主宰のパンクイベント。今回は7回目だったようだ。