「お笑い番組の減少には危機感しかない」-関西ローカル『座生』に託した千原ジュニアの思い_1
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即興ネタで対決する、真剣勝負の舞台

「ただいまより、『座王』開催いたします!」

2018年からレギュラー放送がはじまり、現在まで放送回数が200回を超える長寿番組となっている関西ローカルのバラエティ番組『座王』。実際の放送ではカットされていることもあるが、収録の現場では、MCであり、企画発案者でもある千原ジュニアの開会宣言から勢いよくスタートする。

番組を制作するカンテレの中でももっとも大きなスタジオを使いながら、白を基調としたシンプルなセットを特徴とする『座王』。セットだけではなく、参加芸人や収録スタッフも全員白シャツがドレスコードという徹底ぶりだ。だが、そうした開放感のある環境とは裏腹に、出演芸人たちはピリピリとした緊張感に包まれている。それもそのはず、この番組では、大喜利、替え歌、モノボケ、ギャグ、エピソードトークなど、様々なタイプの笑いを“即興”で生み出さなければならない。

まさに“人を笑わせる”芸人としての資質を問われる、真剣勝負の舞台なのだ。
番組を主宰する千原ジュニアは、『座王』の舞台をこう表現する。

「普段、どれだけ芸人として生きているか。その本質が出てくる場所」――と。

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MCの千原が中央に、画面左に審査委員長(お~い!久馬)、画面右にアシスタントとしてカンテレアナウンサー(竹上萌奈)が付く
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『座王』収録時の様子。番組で放送されている流れそのままで収録は行われる

椅子取りゲームをベースとしたバトルシステム

はじめに『座王』という番組と、そのルールについて説明しておこう。毎週金曜日の深夜、関西ローカルで放送されている30分枠のバラエティ番組で、現在はTVerやAmazon Primeのセレクトチャンネル「大阪チャンネルセレクト」(有料)などでも配信されており、全国で視聴することが可能となっている。MCを務める千原ジュニアがライブイベント用に発案した企画がベースとなっており、トークやロケを一切排除した、純粋かつストイックなお笑い番組だ。

『座王』の基本ルールとなっているのは、「椅子取りゲーム」。1ゲーム(放送1回分)につき10名の芸人が参加し、まずは「オクラホマミキサー」にのせて椅子取り合戦を行う。

音楽が止まったところで椅子を取り合い、座れなかった芸人(座れず芸人)が、対戦相手を指名するシステムだ。用意された椅子にはそれぞれ「大喜利」「ギャグ」「モノボケ」「歌」「1分トーク」といったお題が書かれていて、座れず芸人は、座っている芸人の得意・不得意や相性を考えながら対戦相手を指名。

お題に沿った即興ネタバトルを行い、審査員の判定で勝利したものは2回戦へ、敗退したものは退場する(敗退席へ)。こうした対戦を9回繰り返し、最後まで勝ち残った者が「座王」となる。

このルールに関しては、「こだわりってことはないですけど、俺がシステムを考えて、最初にライブをやったときからこの形やったんで。番組でも特に問題なかったから、同じ形で続けてきましたね」(千原)と、ほぼ変更のないまま現在に至っている唯一、ライブイベントで行われた際には千原が審査員も兼任していたが、2017年にテレビ特番となってからは、司会のみに専念。裏方としては、大喜利のお題の監修なども行っている。

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椅子に紐付けられた「お題」の数々。どこに座るのかは運だが、勝敗に大きく影響する
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負けた芸人が移動する敗者席。一回戦で負けると、収録が終わるまでずっとこちらで待機しなければいけない