アマチュア時代から松山英樹は超エリートだった
日本のゴルフファンはみんなが今、松山英樹選手に期待していると思います。ただね、ものすごく刺激的な言い方をすると、日本で彼はなんとなくぽっと出の選手と見られている感じがするんです。アマチュア時代だってそんなに注目されていなかったし。先にプロになった同学年の石川遼選手のほうが圧倒的に注目度は高かった。ところが、松山選手は、世界ではもともととんでもない超エリートだったんです。
なぜかというと、2010年のアジアパシフィックアマチュア選手権で優勝してマスターズに招待された。そして初出場した2011年のマスターズでローアマ(アマチュア選手の最上位)を取った。さらに2012年にはアマチュアの世界ランキング1位になった。これは全世界のアマチュアが目指すポジションなんです。
こんなエリート街道まっしぐらな選手、それまで誰もいなかった。本人もその辺をちゃんとわかってない節があるんだけど、オーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブ(GC)の松山選手に対する接し方というのは、そういう(エリートに対する)接し方なんですよね。
ローアマを取って、のちにプロとしても優勝した選手って、松山選手を含めて6人いるんです。ジャック・ニクラウス、ベン・クレンショー、フィル・ミケルソン、タイガー・ウッズ、セルヒオ・ガルシア、そして松山英樹。ビッグネームばかりでしょ。
そして、ガルシアはスペイン人だけど、あとはみんなアメリカ人。だから、現地のファンもアメリカ人なら、まぁ納得というか、そんなに驚かない。でも、それを日本人がやってのけたとなれば驚きは余計に大きいんです。
今年、マスターズに出場する金谷拓実プロは2018年にアジアパシフィック選手権で優勝、アマチュア世界ランキング1位になって、2019年のマスターズに出場しました。予選通過はしたけど、ローアマは取れなかった。
今年もアマチュアの中島啓太選手(日体大3年)が、昨年のアジアパシフィック選手権優勝の資格でマスターズに出場します。彼は2020年にはアマチュア世界ランキング1位にもなっている。現時点では、日本は世界のアマチュアゴルフ界から、追いつけ追い越せと思われている、そんな感じなんですね。
ところで、中島選手は日本のプロトーナメントにも優勝しているので、プロ宣言をすればそのままシード選手として日本ツアーに参加できるんだけど、それはしていない。中島選手は、万全の準備をしないと自信が持てないタイプで、まずは日本アマとアジアパシフィック選手権に勝ってマスターズに行くっていうプロセスが終わらないと、プロになってもしょうがないっていう考えというか、こだわりがあったんです。順番が逆になっちゃったけど、日本アマも2021年に勝ちましたね。
彼は国際試合の経験もあるし、英語も話せる。SNSでは日本語と英語の両方で書いていますよ。注目したい選手です。