ダルビッシュから助言を受ける
最初に驚いたのは2年目の2014年のシーズン後だった。自主トレの拠点を置いた千葉・鎌ケ谷の寮では、食事にトンカツや空揚げが出されるというが、大谷は「衣は全部取ってから食べます」と話していた。当時、93キロ。大幅増量を目標に掲げ、「体重を増やす以上、食べるだけ食べてもいいと思っている。ただ、低脂質・高タンパクが大事」とも語っていた。
しかし、同年は投手として前半に9勝(1敗)も、後半は9試合で2勝(3敗)と蓄積疲労によるスタミナ不足を痛感。当時からクレープなど甘いもの好きとして知られていたが「チョコレートとかは夜に食べない。(食べる時も)タイミングを考えている」と自制。全ては徹底した食事管理と筋力トレーニングで鋼の肉体をつくりあげるためだった。
その成果もあり翌15年に投手3冠に輝くと、今度はシーズン後に食生活を一変させた。トンカツの衣を外してから食べる行為については「今は体を大きくしているので特にそこまではやっていない」と明かした。さらにビュッフェ形式の寮の食事では「揚げ物コーナー」が設置され、チーム関係者は「特に夜はかなり食べている」と話していた。
同年12月には元背番号11の先輩・ダルビッシュと合同トレーニングを敢行し、体づくりの助言を受けた。「栄養面、トレーニングを含めて、正しい練習をどれだけこなせるか重点的にやっていて、凄く勉強になった」。プロテイン摂取などを含め1日6、7食の食生活を続けた。
そして、年明けの16年1月6日の自主トレ公開日。「だいぶ体重は増えてきた。オフに入ってから7、8キロ。上半身、下半身、体幹、全体的に大きくなっている。(今の体重は)100キロくらいです」と人生で初めて体重が3桁の大台に達したと告白した。メジャー5年目の22年現在の体重102キロの基礎はこの時にできあがったといえる。