辞めないように説得されて丸め込まれるリスクが怖い

本来であれば、自分自身で退職の意向を伝えるのが当然とされているが、どういった経緯で退職代行を利用しようと思ったのか、Sさんが語ってくれた。

「本来は自分で直接会社に言うべきだということはわかっていましたが、まだ入社して間もなかったので退職したいと伝える勇気もなかったですし、辞めないように説得されて丸め込まれるリスクもあったので退職代行サービスに頼ることにしました。

退職代行を利用するのに3万円支払いましたが、自分で直接言う勇気がない人や、確実に辞めたい人にとってはとてもいいサービスなので、料金が高くても払う価値はあると思います」(Sさん)

ちなみに退職代行の利用料金の相場は約2万円~5万円前後である。決して安くはない料金だが、直接言い出せない人や、リスクを負いたくない人にとっては唯一の救いとなるサービスだからこそ需要があるのだろう。

また退職代行は、第三者が介入することで確実に退職できる可能性が高まるため、あの手この手で引き留めて、なかなか辞めさせてくれないブラック企業に対しては有効な手段といえる。

人手不足の会社の場合、どうにか辞めさせないようにしてくる可能性も…
人手不足の会社の場合、どうにか辞めさせないようにしてくる可能性も…

一方、谷本氏によれば、退職代行を利用する人の中には、直接退職の意向を伝えないことへの罪悪感を抱く人も少なからずいるという。

「退職代行の契約をされた後に、『やっぱり直接自分で言ってみます』と契約を取りやめた方もいます。大体の人が最後の手段として退職代行を利用しますが、一部には直接言わないということへの罪悪感を抱く人もいるようです。

また当社が退職の意向を伝えてから、会社側が態度を改め反省して、本人と和解し、最終的には退職に至らなかったというケースもありました」(谷本氏)