会社は「上野の九龍城」と呼ばれるビルのなかに

午前9時を回るころにはパトカーや捜査車両に加え、消防車や救急車が現場に列をなし、けたたましいサイレンの音に近所の住民も集まってきたという。

「この辺り一帯は、山間部ということもあり、夜になると極端に人通りが少なくなります。2年前には自殺者が出たと噂にもなりました。とはいえ、もし犯人が誰にも見つからずに死体を焼こうと思っていたのなら、ちょっとツメが甘すぎますよね。現場の奥にはまだ2軒ほど家があるし、本当に見つかりたくないのなら、わざわざ土手下の河川敷で焼こうとは思わないはず。土地勘がなくて焦っていたからなのかな、なんて思いましたね」

宝島さんの自宅がある都内タワーマンション(撮影/集英社オンライン)
宝島さんの自宅がある都内タワーマンション(撮影/集英社オンライン)

犯人がどういうつもりでこの現場を選び、むごたらしく火を放ったのかは不明だが、身元が確認された宝島さんは、東京・上野を中心に焼き肉店や居酒屋など約20店舗を経営する会社の代表取締役社長だ。本社事務所が入る上野駅前のマンションはかつて中国系のエステが多数入居し、一斉摘発が入ったこともある「上野の九龍城」とも呼ばれる、その筋では有名なビルだ。玄関前には今も「夜間の看板設置は禁止」「当マンションは民泊禁止」などの張り紙があるなどものものしい。

会社事務所にいた事務員という中年の女性は取材に対し、困惑気味にこう語った。

「全然わからないんです。今朝、知人に『(宝島さんと)同姓同名の方が事件に遭ったってニュースにでているよ』と言われて初めて知ったんです。えっ? えっ?て感じです。
社長はいつもここに出勤せず、週一回とか定期でも来ません。ずっと店を回っているので、毎日どこにいるかはわかりません。私も最後にあったのはだいぶ前。いつだったか。電話は先週にしましたけど…

遺体で発見された宝島さん
遺体で発見された宝島さん
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奥さんとは連絡をしたこともないので面識もありません。社長は焼肉とかを中心とした店を経営していますけど、私は電話で連絡事項を受けるだけで、詳しくはわからないんですよ。従業員への給料計算なんかも全部社長がやっていました」

死因やもう1人の身元も含め、残忍な事件の中身はまだ概要すらもつかめていない。17日現在、警察は20代の男性から任意で事情を聴いているという、捜査本部の手腕が注目される。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班