10,000体参拝の第一歩は空也上人
――修学旅行で京都六波羅蜜寺「空也上人(くうやしょうにん)像」を目にされてから、仏像のとりこになった、みほとけさん。口元の阿弥陀仏や、鹿の角がついた杖などに目が行きがちな空也上人像ですが、“足元”に注目されていたとか。
みほとけ(以下同) 空也上人像、カッコいいですよね! 私がとりわけ目を引かれたのは、使い古された雪駄からのぞく長距離ランナーのような足。リアルな造形に加えて、「すさんだ京都の町を歩いていたんだな」と思わせてくれるリアリティに感動しました。
平安時代、荒れたまちのインフラを整えて回った市井のヒーローとしての空也上人の足取りが目に浮かぶようです。
――我々のような素人が仏像を鑑賞する際、どのような点に注目すれば楽しめるのでしょうか。
心の中で“ツッコミ”を入れてみてはどうでしょう…。といっても、仏様はボケてないんですけど(笑)。「唇厚いな、アンジェリーナ・ジョリーか!」のように、ツッコミを通して感想を言葉にすると、特徴がより具体的にみえてくると思います。
“アフロ阿弥陀”でおなじみ、金戒光明寺「五劫思惟阿弥陀仏」がSNSでたびたび取り上げられるのも、みんながツッコミやすいからかもしれませんね。
――鎌倉大仏のように観光スポットとして名高い仏像がある一方、あわや廃棄寸前だった仏像もあるとか。
静岡県伊豆地方の南禅寺(なんぜんじ)の「薬師如来と仏像群」ですね。平安時代の貴重な仏像なのですが、ときが経つにつれて手入れする人が減っていき、仏像の専門家の方が発見したときには段ボール箱の中に詰め込まれていたそうです。焚き火の薪にされるところだったとか。
でも実際に目にすると、「人々が手を合わせてきた思いが像の中に宿っているんだな」と伝わってきます。何百年も前から手を合わせてきた人々の“思い”が滲み出ているのかもしれません。