僕も老害になっていた

僕は「老害」による被害者側だとずっと思ってきました。

でも、この一年はそうでもないと思っています。

老害は60代、70代の話ではない。

40代から老害を与える加害者側に立っている人もかなり多い。

事の始まりは、とあるYouTubeチャンネル。『街録ch』という人気チャンネルをご存じでしょうか?

三谷三四郎というテレビディレクターが町中で、とんでもない人生を経験した人たちにインタビューするもので、これがとてつもなくおもしろい。

三谷Dは、元々お昼の番組『笑っていいとも!』のADさんで、そのあとディレクターになり、僕もいくつか番組を一緒にやっていたことがある。

三谷Dが、テレビから少し離れて、『街録ch』を始めてヒットし始めたときに、嬉しくて電話した。「良かったな、三谷」と言っても、なんかノリが悪い。あんまり嬉しそうじゃない。

その理由が一年後にわかった。

三谷Dとの一回も使われてないLINEに、いきなり映像が送られてきた。それはライターの吉田豪さんに三谷が逆インタビューされている『街録ch』の映像。

まだ公開されてないが、ちゃんとサムネイルも入っていて、そこに「鈴木おさむを逆恨み」と書かれている。それを見て心臓の鼓動が速くなる。

そしてLINEの文章に、いきなりアップするのも卑怯だなと思ったので、とりあえず公開前に送ります……的なことが書いてある。

見てみると、僕ととある番組をやっていた時のこと。三谷たちが必死に作ってきた企画やVTRが僕の一言で、簡単になくなったり、直されたり。しかも、僕の意見をプロデューサーや演出たちが大切な発言として、受け入れて、その通りにしてしまう環境に対して激しくキレていた。

僕ら作家は10以上の番組を担当し、週に一回、番組の会議に来て発言する。ディレクターは一週間、その会議に向けて気持ちを込めて作り上げてくる。だが、それが週に一度そこに来た僕らの発言でひっくり返される。

三谷は僕に対してもですが、その環境を作り上げている「大人たち」や局にも問題があると提言していた。

見終わり、色んな感情がこみ上げてきたが、三谷にはこうLINEした。「おもしろいじゃん」と。

三谷はその言葉を求めていたらしく、その後のLINEの文面は急に穏やかになり、結果、後日、彼のチャンネルに僕も出演して、自分の人生や思いを語った。

三谷のVTRを見て気づいた。これって、自分は「老害」の被害者側だと思っていたけど、加害者側に立ってたんだよなと。

自分も40代から老害の加害者側になっていたんだと気づき、40代から「ソフト老害」は始まっているのだとわかった。

「老害」よりもタチが悪い40代からの「ソフト老害」。放送作家・鈴木おさむが仕事を辞める理由にも「よかれと思ってやったことが、若い世代の妨害行為に…」_02