成人式発祥の地・蕨市「参加率は上昇傾向」
“成人式”の発祥は、終戦の翌年である1946年(昭和21年)に現在の埼玉県蕨市にて開催された「青年祭」において、その幕開けとして行われた「成年式(せいねんしき)」だとされている。
全国に先駆けて行われたこの催しに対し、国や他県が関心を集め、1948年(昭和23年)に国民の祝日として「成人の日」が制定。以降、全国各地で新成人を祝う式典が行われるようになったそうだ。なお、蕨市では現在においても「成年式」の名称がそのまま使われている。
蕨市教育委員会の担当者に昨今の式典参加率について聞いてみると、「2020年の第74回は52.7%、2021年の第75回は41.0%(コロナ禍のため10月開催)、2022年の第76回は62.7%、2023年の第77回は66.7%と、近年の参加率は上昇傾向にあります」と回答。なお、2024年1月8日に開催された第78回は参加者395名(対象者660名)で出席率59.8%となったものの、地元の新成人が集まり大きな賑わいを見せていた。
そもそも、2021年にはコロナ禍の影響で成人式が取りやめになった地域もあった。2022年以降の出席率が伸びた背景としては、こうしたコロナ禍で抑圧された環境が緩和されたことに加え、成人年齢引き下げというトピックが間近に迫ったことによる話題性の上昇などがあったのかもしれない。
最後に式典に参加した蕨市の新成人に話を聞いてみると、「コロナ禍で学生生活に制限があったので、こうして皆で参加できてうれしい」「自立したつもりでいたけど、親が着付けを手伝ってくれて、改めて感謝の気持ちが湧いた」「蕨市は成年式発祥の地なので、ずっと参加したいと思っていた」といった声をはじめ、「久しぶりに地元の友だちと集まれてうれしい」「最初は迷ったけど、友人が行くと言ったので参加した」と、旧友との再会を喜ぶ声が多く聞こえてきた。
文/井上晃