奥さんは美人なだけでなく本当にいい人でした

伊藤被告から、直接被害を被った住人もいる。60代のその男性は、苦々しい表情を見せた。

「前にうちの塀に車ぶつけやがったんだよ。2022年の夏ごろかな、夜中に『ガッ!』って感じの大きい音がしてなんだろうと思っていて、朝、外に出てみたらうちの塀が削れ落ちてたんだ。伊藤が『知らないっす!』とかシラを切るもんだから、『車の傷と塀の高さが一緒だし、夜中に音も聞いてんだよ』って問い詰めたら、奥さんが伊藤に『私じゃないからお前だろ、正直に言えよ』って助けてくれたんだよ。

伊藤はようやく観念して『弁償します…』とか言ってたんだけど、見積もりとかモタモタしてたら逮捕されちまって泣き寝入りだよ」

伊藤被告(本人SNSより)
伊藤被告(本人SNSより)

初音さんに好印象を持っていた住民は、ほかにもいた。

「事件の数日後、奥さんの兄弟かご親族の方にはお会いしました。ひどく落ち込んでる様子で、『お悔やみ申し上げます』と挨拶したらボロボロと涙をこぼし始めました。思い出させてしまったようでとても心が痛みました。奥さんは本当にいい人で、美人なだけでなく、近隣の年寄りの長話にも付き合ってくれたりもして、まわりからすごく好かれてたんですよ」(70代の女性)

伊藤被告と初音さん
伊藤被告と初音さん

60代女性も、悲しみをこらえるようにこう語った。

「なんで判決が懲役8年なんだって、近所でも話題になったんですけど、やっぱり短く感じるってみんな言ってますね。というのも事件前から2〜3回くらい夫婦げんかで警察がきてるんですよ。口喧嘩で済まずに手を出されたから奥さんが通報したって感じですね。報道の内容だと事件のときも同じような展開だから、伊藤は全然反省してないんですよ。

ケンカがきっかけなのか、奥さんが子どもを連れて3ヵ月くらい家を出てたこともありました。事件が起きる数日前から奥さんの姿も見ないし、子どもの声も聞こえてこなかったから、また家を出ているのかなって思ってたんですけどね。近所の子どもたちもワンちゃんと遊ばせてもらってたから、『もう会えないの?』って悲しんでますよ」

幼い息子を残し、犬も食わない夫婦げんかで若い命を散らした初音さんの無念が、伊藤被告の胸に響くことはあるのだろうか。一審判決後の期限までに検察側も含めて控訴はなく、伊藤被告は懲役8年の刑が確定した受刑囚となった。

出所後に再び、酒を口にしないことを祈るばかりだ。


取材・文 集英社オンラインニュース班

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