「やっちゃったものは事実だからパクられるなら早い方がいい」
下田容疑者はどのタイミングで「死体」と確信したのだろう。
「中身が死体かどうかはわからないけど、木箱をコンテナに移しに行ったことまでは私も聞いてました。下田は、秋田に埋めに行ったすぐ後ぐらいに『死体』だったことを聞かされたらしく、その瞬間に『もう怖くて仕事できない』と真っ青になって次の日から仕事に来なくなりました。でも人が足りなかったんで、事務所には来ないけど派遣の形で仕事は続けてましたけどね。『死体を埋めた』とか言われても、普通はみんな冗談だろうと思うでしょうけど、下田はコンクリ流すとこまでやってるわけですからね。本当に死体だったと確信した段階で、警察に通報すべきだったと思いますよ」
また、下田容疑者は覚醒剤の運搬もさせられていたようだ。
「会社の事務所には、隠すまでもなくシャブが置いてあったし、井上本人から自慢気に何回かパケを見せられたことがありました。自分が元ヤクザだっていうアピールのつもりもあったんじゃないですか。それも井上は下田に運ばせてたんですよ。あいつは金もなかったし、井上に逆らうことができなかったのでしょう」
井上容疑者と菅原容疑者の接点はどこにあったのか。
「菅原は楽しければ何でもいいってタイプで、井上との接点もクスリつながりかもしれないですね。ふたりはそんな前からの知り合いではないはずです。菅原も挙動不審な行動をよくとっていて、ラリってひとりで勝手に青森ぐらいまで行って音信不通になるとか、そういうところがありました。
飯田は下田と違って殴られてたわけじゃないんだけど、言われたことを淡々とやるイメージです。あんまり喋るタイプではないし、何を考えてるかわからない人間でしたね。
井上の元奥さんの土岐さんも、一度だけ引っ越しででたゴミを運ぶときにトラック内で一緒になったことがあります。感じのいい真面目そうな女性でした。菅原から『井上のこと(クスリや浮気などの私生活)は何も話すな』と釘を刺されていたので何も話しませんでした」
下田容疑者は、捜査の手が迫っているのを知っていたのだろうか。
「そもそも『やっちゃったものは事実だからパクられるなら早い方がいい』って感じでした。今年の2月ぐらいから事情聴取が始まって、私も警察に何度も呼ばれて話をさせてもらいましたが、5月になって遺体が出てからは、下田が『パクられたら風呂入れないよね』と言ってたんで、覚悟はできてたと思います」
いずれにしても、元同僚は井上容疑者の部屋に転がっていた「オムツ」が気になって仕方がないと言う。
「その時点で亡くなっていたら、オムツなんて必要ないですもんね。井上の部屋にいたときはまだ生きてた可能性もありますよね。警察がもっと早く動いていれば助かったかもしれない命だと思うと、複雑です。あと報道では見つかった木箱からはコンクリートの破片がでてきたと報じられていますが、コンクリートはどのタイミングで剝がされたのか…。警察はもちろん捜査にかかわることは教えてくれませんでした」
元同僚は「自分ももっと何かできることがあったのでは…」と自責の念に駆られていた。事件の全容解明が待たれる。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班