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MBセレクト、こち亀オールタイムBEST五話
1.「ニセ車販売店を探せ!の巻」(ジャンプ・コミックス56巻収録)
今の僕は車好きで、結構詳しいのですが、やはりきっかけはこち亀だったのかもしれません。これは伝説の、“フュラーリテスタオッサンドナイシテマンネン”の回です(笑)。マークⅡに見える車は“マークⅡ(ソーズ)”。子どもの頃はまったく理解できませんでしたけど(笑)。大学に入って麻雀を始めた頃、「マークソーズってこれか!」とやっと腑に落ちました。子どもの頃に読んで謎だったこち亀ネタは、人生の節々でじわじわと解答をもらいました。その“謎解き感”も、こち亀の楽しみ方のひとつです。そういえば、今でも街でポルシェを見かけると麗子を思い出しますし、旧車のスバル360を見かけると「あ、あれだ! 両さんが本多と一緒に部長の家に行って、ボロボロになった車だ」と思います(笑)。
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2. 「質素大好き!?の巻」(ジャンプ・コミックス48巻収録)
人気のある話だと思いますが、両さんが靴を食べる回です。最後は意外なハッピーエンドで、ちょっと珍しいんですよね。靴って茹でると本当にステーキになるの?って、子ども心に興味をそそられました。公園の草って……、これ以上言うとネタバレになっちゃいますね(笑)。ありそうに思えて、実はありえないというギリギリをつく面白さが詰まった回です。お笑いのコントでもそうですが、絶対にありえないようなぶっ飛んだ世界観は笑えないけど、ギリギリありそうでありえないのはすごく面白く感じます。そうしたお笑いの美学のようなものを感じる回ですね。
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3. 「ゴキブリ大行進!の巻」(ジャンプ・コミックス76巻収録)
ゴキブリを研究所に売ることができるということを知ってしまった両さんが、寮の一室でゴキブリ養殖を始める話です。この時点ですでにオチは読めますが(笑)、本当に大変なことになります。この回は確か、中学生の頃に読みました。でも僕が当時住んでいた新潟って、寒い気候なのであまりゴキブリが出ないんです。たまに出ても動きが遅くてすぐに捕まえられます。だからゴキブリに対してあまり恐怖や抵抗感はなく、この回を読んでいろいろ驚きました。その後、東京に出てきて答え合わせができました(笑)。「わ! ゴキブリ早い! 飛ぶじゃん! こち亀で見た通りだ!!」って(笑)。
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4. 「アメリカよいとこ!?の巻」(ジャンプ・コミックス27巻収録)
アメリカに研修旅行へ来た両さんの話。この話を読んだ何年か後、僕はアメリカのサンフランシスコに短期留学しました。そこで “ピアーサーティーンナイン”とか“フィッシャーマンズワーフ”といった店を見て、「こち亀の舞台だ! 両さんがカニをめちゃくちゃ食ってた店だ!」と感動しました。留学先でたまたま子どもの頃に読んだ場所に遭遇して驚いたという、非常に個人的な体験と思い出によって選んだ回です(笑)。両さんのアメリカ訪問は、この後四話にわたって続きますが、偉大なマンネリのこち亀の中で、ときどきこうしたスペシャルな回があるのもまた刺激的でいいんですよね。そうそう、56巻の「ローザンヌの休日の巻(前・後編)」などもそうですが、海外だろうと腕まくりした制服にサンダル履きで行っちゃう両さんがやはり最高です(笑)。
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5. 「両さんメモリアル 新たなる旅立ちの巻」(ジャンプ・コミックス69巻収録)
こち亀古参ファンの間で語り草になっている回(笑)。リアルタイムの『週刊少年ジャンプ』で読んだ記憶があります。ネタバレになるのでこれ以上は語りませんが、ありえないと思いましたよ(笑)。聞くところによると、この回が掲載された後、編集部はクレームの嵐だったらしいのですが(笑)、そんなことをやっちゃうのもまた、こち亀の面白さですよね。この回の前半で、両さんが警察官になった経緯が語られますが、全巻読んでみてわかるのは、これもコロコロ変わっていることです。部長の誕生日が、“都合により”コロコロ変わるのは確信犯だし、葛飾署の署長の名前も適当に変わっている。秋本先生が「まあ、マンガですから」って言っているようで、こんな力の抜け方もこち亀の魅力なのではないかと思います。
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取材・文/佐藤誠二郎