波平と筆者は同い年だけど、気持ちも趣味も生活も全然違う
1969年7月20日。
アポロ11号が人類初の有人月面着陸を成し遂げた日、僕はこの世に生を受けた。
なんて書くとちょっと大げさすぎるうえ、そもそもこれはちょっと嘘で、実は日本時間での月面着陸は、僕が生まれた翌日、7月21日のことである。
でもアポロ11号はアメリカの宇宙船だからアメリカ時間の7月20日が公式な“月面着陸日”とされ、僕の誕生は人類史に刻まれる記念日(と同じ日)になったのだ。
そんな僕は、次の誕生日で満54歳となる。
今さら誕生日なんて大した価値も意味もなく、53も54も変わり映えしないとは思うのだが、54歳という年齢で一つだけそれなりの感慨を覚えることがある。
ついに磯野波平と同じ年になってしまう、ということだ。
そしてこれは僕だけではなく、現代に生きる日本の男性が54歳になったら、誰しもが持つ感想だろうけど、波平と今の自分が同年齢とはとても思えない
波平の人物像と、現在の自分を比較してみよう。
波平←→筆者
一人称は「わし」←→一人称は「僕」もしくは「俺」、「パパ」
家では和服の着流し←→家ではスウェットやTシャツ、短パン
側頭部と後頭部に髪が残ったハゲ頭←→抜け毛の兆候はなく髪型はツーブロック
ちょび髭あり←→あご髭あり
老けた見た目だが老人扱いを嫌う←→いまだ若造扱いされるけど嫌でもない
外国の食べ物や習慣に否定的←→食べ物や習慣は外国とさほど変わらない
酒好きだが酒癖は悪い←→お酒はほとんど飲まない
趣味は盆栽と釣り←→趣味はライブハウスでライブ鑑賞
清元節(浄瑠璃の一種の三味線音楽)が好き←→パンクやブリティッシュロックが好き
囲碁、書画、骨董、俳句などを嗜む←→SpotifyやNetflix、YouTubeの鑑賞を好む
こうして見ると、彼我の差に驚かされる。
いかにも老人然としたこんな波平が、同級生(の年齢)なわけがない。
もちろん僕が無理して若ぶっているのではなく、同世代の友人や知り合いも僕と似たようなものだ。
だから同窓会や同期会にもしも波平みたいな人間が現れたら、大きな違和感を抱くことだろう。
「おいおい変なジジイが紛れ込んでるぞ。誰だ?」と。