不調の打者こそホームランを狙っていけ

【WBC】「3番・大谷翔平は最善手ではない」「山田哲人は重症」名コーチが指摘する侍打線の不安点_1
強化試合の最終戦でようやく1発が出た村上をはじめ、まだ本調子とは言えない国内組がどこまで状態を上げてくるか
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あれは2017年、日本ハムがアリゾナ1次キャンプを終えて名護に入ったときのことだった。ちょうど大谷翔平の足首痛が癒え、初めて屋外で行うフリー打撃を見る機会に恵まれた。三塁側ベンチで栗山監督(当時)と並んで見たのだが、その凄さにはほんとうに舌を巻いたものだった。

名護の外野後方の海岸に何本打ち込んだろう。群を抜くパワーと、芯に当てるミート力はホームラン打者特有のもので、打球の角度も高校を卒業して数年の打者とは思えぬスケール、完成度だった。あれからちょうど7年経ったが、怪物はさらに数倍も成長していた。

今回の侍ジャパンは、大谷が中心の打線になることは間違いない。それだけに村上宗隆、山川穂高、山田哲人ら主力打者らが、まだまだ本調子にないのが気になる。今の村上、山川らの状態は、10をベストとすれば7か8くらいか。これがシーズンならじっと待つことも出来るが、短期決戦の国際大会では待っている間に終わってしまう。
 
 
彼らの不調は、予期できることだった。

通常のシーズンなら3月下旬の開幕を前提にして、まだ調整の時期。そのためこの時期に、ベストの状態に持ってくることは至難の業なのだ。もちろん選手たちは早めに対応すべく年明けからトレーニングし、キャンプではそれなりに打ち込んできたはずだ。

実際、強化合宿、実戦形式と進む中、村上などのスイングは決して悪くはない。それでも気持ちと身体の〝微妙なズレ〟は、プロを数年経験している者なら、必ず生じてしまうものなのだ。村上に関していえば、「ホームラン打者ゆえの落とし穴」とも言えるかもしれない。

では、どうしたらいいか。
私がコーチだったら「ホームランを狙っていけ!」と、けしかけるだろう。